「丸嘉」という屋号には、私たちの漆器づくりの哲学と、創業者・小坂嘉男の人柄がそのまま息づいています。
名前のひとつひとつに込められた意味をひも解くと、"もの"と"こころ"のかたちが見えてきます。
屋号の「嘉」は、創業者・小坂嘉男の名前に由来します。
「嘉」という字には、「よいこと」「喜ばしいこと」といった意味があり、古くから縁起のよい文字とされてきました。
そしてもうひとつの「丸」は、嘉男自身が愛してやまなかったかたち——“まる”。
丸い器、丸いお椀、丸いお盆。その曲線には、手に取る人を優しく包み込むような温かさがあります。
嘉男は、形としての「丸」だけでなく、「物事を円満に、調和の中で進めたい」という自身の生き方も、「丸」という字に託しました。
そうして生まれたのが、「丸嘉」という名前です。
単なる屋号ではなく、これは、人とものづくりの関係、そして職人としての美学を象徴する名前なのです。
今も、私たち丸嘉小坂漆器店は「丸」と「嘉」に込められた想いを大切にしながら、日々の製作に向き合っています。
丸いかたちの中に宿る、やさしさと強さ。
嘉の心を受け継いで、これからも暮らしに調和をもたらす漆器を届けていきたいと願っています。